ドローンを飛ばすには何が必要?
ドローンを飛行させる場合に、どういった順序で、何をする必要があるのかを整理してみましょう。
- Step① 100g以上のドローンを野外で飛行させるなら、機体の登録をする
- 本体とバッテリーを足した重量が100g以上のドローンは、航空法上の無人航空機に該当します。
野外で飛行させる場合は、ドローン登録システムで機体登録を行ったうえで、付与される登録記号を機体に表示しておくことが義務付けられています。
- Step② 飛行させる場所と方法が、航空法や他の法律によって禁止されていないかを確認する
- 「航空法」で禁止される空域や飛行方法に該当しないかを確認し、必要な場合は許可や承認を得るための申請を行います。
「小型無人機等飛行禁止法」で禁止される国の重要施設付近の場合は別の手続きが必要で、こちらは100g以下の機体であっても規制の対象となります。
その他の法令や、自治体の条令によって飛行が制限されている場合もあります。
- Step③ 飛行させる場所の管理者等の承諾を得る
- 航空法の許可承認とは別に、飛行させる場所によって管理者などの承諾を得る必要があります。
例えば以下のような場合です。
・他人の土地の上空(民法207条 土地所有権)
・道路上空(道路交通法)
・河川や河川敷上空(河川法)
・自然公園や国有林(自然公園法・国有林野法)
・市民公園等(都道府県や市町村など自治体の条例)
- Step④ 飛行情報の共有(FISS)
- 飛行前に、飛行情報共有システム(FISS)に飛行する空域・日時を登録します。
他の航空機等と接近するおそれがある場合に回避・調整を行うためで、登録した情報はFISS上で公開されます。
- Step⑤ 飛行前確認・飛行
- 飛行開始前に「飛行前確認」を行います。飛行マニュアルに則った機体の点検や、飛行させる空域が「緊急用務空域」に指定されていないかなどを確認します。
問題がなければ、飛行させます。
- Step⑥ 飛行実績の記録
- 飛行終了後は、飛行実績の記録を行います。
以前は3か月に一度の報告が求められていましたが、現在は不要になりました。
ただし、航空局から求められた際は速やかに報告する必要がありますので、記録と管理は必要です。
飛行中に万が一事故があれば、事故の報告をします。
以上がドローンを飛行させる大まかな流れです。
上には記載していませんが、操縦者にも「安全に飛行させるための知識と能力」として、10時間以上の飛行経歴や無人航空機に関する法令の知識などが求められています。
国は、空と地上の安全を守るために飛行のルール(法律)を定めています。
この中でも、国土交通省に申請をして許可や承認を得ることが要件付けられている飛行があります。(Step②の部分)
では、その飛行許可申請について詳しく見ていきましょう。
飛行許可の申請が必要なケース
100g以上のドローンを野外で飛行させる場合で、次の9つのうちどれかひとつでも当てはまるのであれば、飛行許可申請が必要です。
許可や承認が必要な飛行
許可が必要な飛行空域
- 空港などの周辺
- 地表または水面から150m以上の空域
- 人口密集地域の上空
承認が必要な飛行方法
- 夜間飛行
- 目視外飛行
- 人または物件から30m以内
- 催し物の会場上空
- 危険物輸送
- 物件投下
それぞれ確認していきましょう。
許可が必要な飛行空域
航空法でドローンの飛行が禁止されている空域は、次の(A)から(D)の4つです。
(A)(C)(D)の空域でドローンを飛行させたい場合には、国土交通大臣の「許可」が必要です。
(B)の緊急用務空域では、(A)(C)(D)の許可があっても、ドローンを飛行させることはできません。
(A)空港等の周辺の空域
空港やヘリポートの周辺で飛行させるには、許可が必要です。
許可が必要となる空域は、国土地理院地図で確認できます。
(地図上で緑色に表示されている範囲です)
空港によってそれぞれ許可が必要になる高度(制限高)が決まっていて、その制限高さ以下での飛行であれば許可は不要です。
制限高さを超えて飛行させる場合は許可が必要になるのと、事前に空港等の管理者との調整が必要です。
航空機の離発着が頻繁に行われる空港
新千歳空港、成田国際空港、東京国際空港、中部国際空港、大阪国際空港、関西国際空港、福岡空港、那覇空港
これらの空港は「小型無人機等飛行禁止法」の対象施設でもありますので、周辺空域での飛行が原則禁止されています。航空法上の許可だけでは飛行させることが出来ませんので、注意が必要です。
(B)緊急用務空域
緊急用務空域とは、災害などが起きた場合に、消防・救助・警察業務などを行うために指定される空域のことです。
緊急用務空域では、事前に飛行の許可承認を取得していても、100g以下のドローンであっても、飛行させることはできません。
ドローンの飛行開始前には、飛行させる空域が緊急用務空域に指定されていないかどうかを必ず確認しなければいけません。
災害等で緊急用務空域が指定された場合は、国土交通省のホームページやTwitterで発表されます。
(C)地表又は水面から150m以上の高さの空域
地表または水面から150m以上の高さの空域で飛行させるには、許可が必要です。
ここでいう高さとは、標高(海抜)ではなく、ドローンと地表または水面との間の距離です。
なお、空港周辺や150m以上の高さの空域での飛行を行う場合には、事前に空港・空域の管理者との調整が必要です。
2021年9月23日から、150m以上の高さの空域のうち、物件から30m以内の空域については許可が不要になりました。
高構造物件の周辺については、有人航空機の飛行が想定されない為、規制空域から除外されました。
(D)人口集中地区の上空
人口集中地区(DID地区とも呼ばれます)の上空で飛行させるには、許可が必要です。
飛行させる場所が人口集中地区かどうかは、国土地理院の地図で確認できます。
(地図上で赤く表示されている範囲がDID地区です)
自宅の庭や自社の敷地内であっても、周囲に人が居ない河川敷であっても、人口集中地区であれば許可が必要になります。
反対に、屋内や四方と上部がネットで囲われているような、ドローンが飛び出して行ってしまわない場所で飛行させる場合は、人口集中地区であっても許可は不要です。
22021年9月23日から、人口集中地区内での30m以内の係留飛行については許可が不要になりました。
承認が必要な飛行方法
次の6つの方法で飛行させる場合には、承認が必要になります。
① 夜間飛行
ドローンを日出から日没までの時間以外(夜間)に飛行させる場合には、承認が必要です。
日出および日没の時刻は、国立天文台により発表されている時刻です。季節や地域により異なりますので、早朝や夕暮れに差し掛かる業務が想定される場合は、承認を得ておきましょう。
② 目視外飛行
操縦者が自分の目で直接ドローンを見ずに飛行させる場合は、承認が必要です。
眼鏡やコンタクトの使用は目視に含まれますが、双眼鏡やカメラを通してモニターに表示される映像を見ながら飛行させる場合や、補助者による監視は目視に該当しません。
ゴーグルを着用したFPVによる飛行も目視外飛行になりますので、承認が必要です。
③ 人・物件から30m未満の飛行
人または物件から30mの距離を保てない状況での飛行は、承認が必要です。
「30mの距離」とは、ドローンから半径30mの球状の範囲内に、人または物件があってはならない、という状態です。
「人」とは、ドローンを飛行させる者とその関係者以外の「第三者」を指します。イベントのエキストラ、大会の運営関係者など、ドローンの飛行に直接的または間接的に関与している者は含まれません。
「物件」とは、第三者が管理する物件を指します。たとえば、飛行させる者が乗ってきた自動車はここでいう物件には該当しませんが、第三者が駐車させている自動車は物件に該当します。
物件の例
① 中に人が存在することが想定される機器(車両等)
自動車、鉄道車両、軌道車両、船舶、航空機、建設機械、港湾のクレーンなど
② 建築物その他の相当の大きさを有する工作物等
ビル、住居、工場、倉庫、橋梁、高架、水門、変電所、鉄塔、電柱、電線、信号機、街灯など
樹木や雑草などの自然に存在している物は、ここでいう物件に該当しません。
④ 催し場所の上空の飛行
多数の人が集まる催し場所の上空で飛行させるには、承認が必要です。
「多数の者の集合する催し」とは、特定の場所や日時に開催される多数の者の集まるものを指します。
国交省は「祭礼、縁日、展示会のほか、プロスポーツの試合、スポーツ大会、運動会、屋外で開催されるコンサート、町内会の盆踊り大会、デモなど」を具体例としてあげていますが、これら以外でも特定の時間・場所に数十人が集合していれば、「多数の者の集合する催し」に該当する場合があります。
混雑による人混みや、信号待ちなどの自然発生的なものは「多数の者の集合する催し」に該当しません。
⑤ 危険物輸送
危険物を輸送するには、承認が必要です。
危険物には、刃物類、火薬類、高圧ガス、引火性液体、可燃性物質類などが該当します。
農薬散布の農薬も危険物に該当します。
無人航空機を飛行させるために必要な燃料や電池、パラシュートを開傘するために必要な火薬類や高圧ガス、業務用機器(カメラ等)に用いられる電池などは、危険物に該当しません。
⑥ 物件投下
ドローンから物を落とすには、承認が必要です。
水や農薬などの液体を噴霧散布すること(農薬散布)も、物件投下に該当します。
ドローンを使って物件を輸送する場合で「空中で落下させずに、接地させてから置く」場合は、物件投下に該当しないので承認は必要ありません。
飛行させる場所に関わらず、守らなければならないルール
飛行させる場所に関わらず、次の4つのルールは必ず守らなければなりません。
① 飲酒時の飛行禁止
アルコールまたは薬物等の影響下では、ドローンを飛行させることはできません。
この場合の薬物には、麻薬や覚醒剤などの規制薬物に限らず、医薬品も含まれますのでご注意ください。
② 飛行前確認
飛行前に、以下の飛行前確認を行う必要があります。
- 無人航空機の状況についての外部点検および作動点検
- 無人航空機を飛行させる空域およびその周囲の状況の確認
- 飛行に必要な気象情報の確認
- 燃料の搭載量またはバッテリーの残量の確認
- 緊急用務空域に該当するか否かの確認
- リモートID機能の作動状況の確認
③ 衝突予防
航空機または他のドローンとの衝突を予防するように飛行させる必要があります。
飛行中に航空機や他のドローンを発見した場合は、安全な間隔を確保して飛行させるか、衝突のおそれがある場合は地上に降下させるなどの対応を行いましょう。
④ 危険な飛行の禁止
不必要に騒音を発したり、急降下させたり、人に向かってドローンを急接近させるなどの、他人に迷惑を及ぼすような飛行は禁止されています。
包括申請と個別申請
ドローンの飛行許可申請には、「包括申請」と「個別申請」という2つの方法があります。
同一の申請者が一定期間内に反復して飛行を行う場合や、異なる複数の場所で飛行を行う場合の申請は、「包括申請」として申請することが可能です。
包括申請では、飛行区域を全国、飛行期間を最大1年間とした飛行許可を取得することができます。
飛行させる度に毎回申請をする必要がなくなるので、とても使い勝手の良いものだと言えます。
ドローンを使用されている方の多くがこの「包括申請」を利用されており、当事務所でも「全国1年の包括申請+人口集中地区+夜間+目視外+人又は物から30m未満」をセットにした「飛行申請スタンダードパック」をご用意しております。
ただし、以下の方法で飛行させる場合は、飛行場所を特定して都度申請する「個別申請」が必要になります。
個別申請が必要な飛行
飛行経路の特定が必要
- 空港などの周辺
- 地表または水面から150m以上の空域
- 夜間に人口集中地区の上空を飛行
- 夜間に目視外飛行
- 補助者を配置せずに目視外飛行
飛行経路と飛行日時の特定が必要
- 夜間に人口集中地区の上空で、目視外飛行させる
- 催し物の会場上空
「夜間」と「人口集中地区」の包括許可を取っていたとしても、組み合わせによっては個別申請が必要になることに注意が必要です。
当事務所では、包括申請、個別申請の両方に対応しております。ご要望の飛行内容に適した申請内容をご提案いたします。
申請はDIPSによるオンライン申請で行います。お問い合わせから許可承認が取得できるまで、約1か月を目安にお考え下さい。
罰則
・航空法に違反してドローンを飛行させた場合には、50万円以下の罰金が科せられる場合があります。
・小型無人機等飛行禁止法に違反してドローンを飛行させた場合には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられる場合があります。
昨今ではコンプライアンスチェックとして、依頼元がドローン業者に申請書、許可証、飛行マニュアルの提出を求め、適切な許可承認を得ているかの確認を行うケースが増えているようです。
業務を失注してしまうリスクだけでなく、撮影した映像に違反の事実が発覚して使用不可となった場合、損害賠償責任に問われる可能性もあります。
ドローン業界のさらなる発展の為にも、確かたる体制を整えて飛行に臨んでいただければと思います。
当事務所では、ドローン飛行許可の申請代行を行っています。
複雑で手間のかかる申請手続きは、当事務所にお任せください。
クライアントの皆様には、安心・安全な飛行に専念していただきたいと思います。
フライトに関するご相談も承っております。
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